2014年12月3日
健康寿命を延ばす妨げとなっている疾患が、脳血管疾患(脳卒中)、心疾患(心臓病)そして糖尿病が三大要因であることが明らかになっています。
特に糖尿病は、脳血管疾患や心疾患の危険因子となり、その対策の重要性が指摘されています。
日本の糖尿病患者は約950万人。予備軍を合わせると2050万人にもなり、その数は急増しています。
こんな糖尿病は歯周病と深い関係にあります。
歯周病は、歯と歯肉との間の歯周ポケットに細菌のかたまりのプラーク(歯垢)や歯石が形成されると生じる細菌感染症です。
歯周ポケットに付着したプラークや歯石は歯肉に炎症をおこし、糖尿病を悪化させ血糖値が上がり、また、歯周病が良くなり炎症がおさまると血糖値が下がり糖尿病が改善します。
しかし、歯周ポケットに入り込んだプラークをご自分で完全に取り除くことはできません。
歯科医院でのプロフェショナル・ケアが必要になります。
日頃のセルフ・ケアと定期的な歯科検診とプロフェッショナル・ケアを受けられることをお勧めします。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2014年12月2日
昨夜、NHKの”クローズアップ現代”で口腔ケアに関するリポートがありました。
その内容は・・・
口から食べ物を食べることは大きな楽しみであり、健康長寿のカギとされています。
しかし、口の中には500種類の細菌がいて、1グラムの歯垢(プラーク)の中には、1000億の細菌が存在しています。
病気や寝たきりになり口腔ケアができないと口腔内の衛生状態が悪化するため、これらの細菌が爆発的に増加して1兆にもなってしまい、病気になるリスクが高くなったり、病気が悪化することが明らかになっています。
現在、口腔内細菌と関連があると言われている疾患に、糖尿病、心疾患、誤嚥性肺炎、早期低体重児出産、認知症などがあり、口腔内細菌が全身の健康に深く関わっています。
番組では心臓の手術の前に口の中の細菌が増えるのを抑えるため歯の治療を行った感染性心内膜炎の例を解説していました。
当院で口腔内を全顎治療された方が、心疾患の手術を行う際に、病院内の歯科で口腔内を検査され、大変良い状態だったので抜歯などの治療はなく、無事に手術を終えられることができたことを大変喜ばれていました。同じ心疾患で手術をした方のなかには口腔内を清潔にするために歯を抜いた方が多くいらしたそうです。
また、番組では在宅介護についても触れられていました。
在宅介護では口腔ケアを必要とされている人の1割ほどしか実施されておらず、在宅での口腔ケアにより全身の健康状態が改善した人が紹介されていました。
食べる楽しみたけでなく健康に生活するうえでも口腔内を清潔に保つようにしたいですね。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2014年11月26日
以前、検診を希望され来院された方の前歯の状態です。
前歯の根元が大きく括れていて下顎の2本の歯は頭の部分が折れてなくなっています。
このようになったのは、長年、大きな歯間ブラシを使用していたために歯間ブラシで歯根を削ってしまったためです。(爪楊枝でも同じようになることがあります)
さぞかし痛いのではと思われるかもしれませんが、痛みはまったくありません。
長年にわたって細くなったため、歯髄(神経)も歯根が細くなるにしたがい細くなり、最後には閉鎖して。痛みを感じなかったと思います。
早い時期に歯科医院で正しい歯間ブラシの使用方法をお聞きになり、適正なサイズを選ばれていればと残念に思いますが、歯ブラシは大変熱心にされていましたので歯茎は健康そのものです。
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名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2014年11月11日
“物を咬むと痛い”と来院されました。
口腔内を拝見すると右上第一大臼歯に歯が欠けているところがあります。
痛みの原因は歯が欠けているところから補綴物をつけているセメントが溶け出して,歯との間に隙間ができ、補綴物が外れているため咬むと補綴物が動いて痛みがあるのか、歯が欠けているところから歯に亀裂が生じて咬むと歯が押し広げられ痛みが出た可能性があります。
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歯にあまり振動を与えないように慎重に修復物を取り除きました。
カリエス(むし歯)になっているところを除去して染色してみると、歯の両側に亀裂がはっきりとあらわれました。
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右側の亀裂が深く進んでいることが考えられるため抜歯も選択肢に入ると思いますが、ご本人のご希望で保存することにしました。
将来、亀裂が進み歯が割れてしまうことや、歯髄(神経)が感染して壊死してしまう可能性があり大変リスクの高い歯です。
このような亀裂が生じた原因として、歯が薄く残っていたため、咬んでいるうち、そこに亀裂が生じたのではないでしょうか。
みなさんの歯は大丈夫ですか?
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2014年11月4日
当院の技工を担当して頂いている東京 吉祥寺のアペックス 檜田健幸さんの原稿が、群馬県歯科技工士会発行の”群技かわら版”に掲載されました。
テーマは”調整の少ないクラウンを目指して”
口腔内にお入れする補綴物(冠など)を調整の少ないものにするにはどうしたらいいのか、檜田さんが日頃おこなっている方法が紹介されています。

“その1”の今回は模型作りがテーマです。
感染を防止するため歯科医院から届いた石膏模型や印象(型)の消毒方法について、また、補綴物を製作するために精密な作業模型を製作するにはどうしたらいいのか、檜田さんのノウハウがたくさん書かれています。
この原稿で無調整でセットできた例として、当院の症例が紹介されていました。

咬む所は青色でマークされ、歯ぎしりした時にあたるところは赤でマークされています。
赤と青が同じ位置にあることが良い状態となります。
赤だけの部分があると歯を揺さぶっていることになります。
歯は揺さぶられるのが苦手なため調整する必要があります。
クラウン装着4ヶ月後の写真ですが、装着時と同じ咬合(噛み合わせ)の状態をたもっています。
歯に負担となる赤だけの所はありません。
また、歯にあまり大きな力が加わらないように、咬む所の面積は小さくする必要がありますが適切な大きさになっています。
このようなことが可能なのは、精密な作業模型を使用して顎の動きを考慮した補綴物が作られているためです。
さすが檜田さん。
いつも非常に良い補綴物を製作して頂き、大変感謝しています。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2014年10月20日
拝見すると黒い部分はカリエス(むし歯)でした。
右下3番です。
カリエスは歯と歯茎の境目にあり、ちょっと深そうな気がします。
コンポジットレジンを充填する時に歯肉が邪魔になりラバー防湿ができるか心配です。

浸潤麻酔をして軟化牙質(むし歯で柔らかくなったところ)をスプーンエキスカで慎重に取っていきます。
軟化牙質をとるのに器械を使わないのは、健康な歯質を出来るだけ残したいため、削りすぎないようにするためです。
手の感覚を重視してスプーンエキスカという小さな器具を使用して慎重に取ります。
カリエスの取り残しがないか、カリエスチェックで確認。
やはりカリエスは深く、治療後、冷水痛がでることが考えられます。
カリエスの部分を取り除くとやはり歯肉が邪魔になりラバー防湿がしにくい状態となりました。
コンポジットレジンの充填時に唾液が接触すると接着力が落ちてしまいます。
工夫してラバー防湿を行い、安心して充填処置ができるようにしました。
さあ、充填です。
残っている歯の色に合わせてコンポジットレジンの色を選択します。
部位により色の変化があるため、数種類のコンポジットレジンを使用しました。
歯頸部に白濁部分があります。
前の歯にも同じような白濁があるので、あえて白濁を削り取らないで白いコンポジットレジンを使って再現しました。
}.JPG](https://www.icco-d.com/assets_c/%7B002248-20141017%5B00%5D%281%29%7D.JPG)
治療後、冷水痛は出なかったそうです。
抜髄にいたらずホッとしています。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2014年10月8日
根管治療では根管の先端まで根管充填することがゴールなのでしょうか?
(歯根を透明にして神経の入っている管を黒く染めた写真です)
}C.JPG](https://www.icco-d.com/assets_c/%7B000001-20131225%5B00%5D%282%29%7DC.JPG)
写真のように神経(歯髄)は歯根の中で非常に複雑な形をしていて、神経(歯髄)をすべて取り除き根管充填することで封鎖することは不可能です。でも、決して根管充填をおろそかにしてもいいと言うことではありません。
十分な根管治療を行ったとしても症状が残ってしまうことがあります。
そのため、私が根管治療のゴールと考えるのは、体調によっては少し違和感を感じることがあっても日常生活で痛みや腫れなどがなく、食事ができ、歯を気にせずに生活できることではないかと思います。
私の口腔内にも根管治療をした歯があります。その歯は疲れた時など若干の違和感を感じることがありますが、疲れがとれると何事もなかったようになり、生活に支障はありません。
私はこの歯を体調のバロメーターだと思って付き合っています。
神経(歯髄)をとった歯はもとの生活歯と同じにはなりません。神経(歯髄)は大切にしたいものです。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院