2013年9月20日
歯髄への影響はどうか
歯を削る時はいつも歯髄に損傷を与えないためにはどうすれば良いか考えます。
支台歯形成(クラウンを入れるための形成)では歯の4〜5歯面にわたり歯を削るため、削除刺激が歯髄に加わる機会も多くなります。患者さんのご希望、年齢、歯種、歯の形態、咬合(噛み合わせ)状態などを考慮して補綴物を選択し、その補綴物を作るのに必要なスペースだけの形成量に止め、過度の形成により歯髄に損傷を与えることを避けなければなりません。
削除刺激の中に形成時の摩擦による発熱があり、その発熱を抑えるために形成時は水で形成面を十分冷却しながら行います。
形成時の発熱を考えるとき、歯髄までの距離に注意する必要があります。
形成面と歯髄との距離が0.5mm以下となると歯髄の損傷変化が顕著となるため、歯表面から歯髄腔までの距離を参考に慎重に形成します。
切削時の圧力も影響します。
強い力を加えて形成するとバーと歯質との間に過度の温度上昇が生じ歯髄に損傷を与えてしまうため、歯面をなでるように軽い圧で形成します。
形成時に使用する切削具も歯髄に影響を与えてしまいます。
形成面の仕上げに用いるカーバイトバーはダイヤモンドバーよりも歯髄への影響が大きくなるため、その使用は慎重にせねばなりません。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2013年9月17日
健康な歯肉が維持出来るのか、清掃性は良いのか。
補綴物は歯を削ったスペースに製作されます。そのため、目的とする補綴物を製作するのに削除量が不十分な場合、補綴物は出っ張った形となってしまいます。
大きな補綴物では、食べ物の流れによる歯の自浄作用が得られず不潔になったり、歯ブラシが届きにくくなり、歯肉炎や歯周病を起こす原因となったりします。
また、マージンが不鮮明の場合は適合の良い補綴物を作る事ができなくなり、不適合部分が不潔になり健康な歯肉を維持する事ができません。
清掃性の良い補綴物を入れるためには、作る補綴物に応じた削除量で、適切な位置に設定された鮮明で滑らかなマージンが必要になります。
不適切な補綴物により歯肉が腫脹しています。
清掃性の高い補綴物を入れることにより歯肉の腫脹が改善しました。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2013年9月11日
下顎の小臼歯がカリエスのため、ハイブリットレジンを充填することになりました。
カリエスの部分と同時に、以前に充填されたレジンも取り除くと大きな欠損となりました。
カリエスを残したままだと2次カリエスになるため、取り残しがないかカリエスチェックで染色して完全にカリエスを除去し、充填処置に移ります。
窩洞が深くなった為、術後疼痛や術後の歯髄炎となる可能性が高い思われます。そのため、重合収縮応力が低く、適合性の高いDENTSPLYのエスディーアール(SDR)を窩底に使用しました。
エスディーアール(SDR)の上にハイブリットレジンを積層法により充填して解剖学的な咬合面を再現しました。
(大臼歯に咬合紙による着色があるままの写真となってしまいました。治療終了時には綺麗に取りましたのでご安心ください。)
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2013年9月9日
セラミックの破折でお困りの方が来院されました。
前歯部ブリッジのセラミックが破損しています。
左上1番の破折部分のみの修理を希望されましたので、ハイブリットの硬質レジンを使用して修理することになりました。
修復する部分にはセラミックと金属の部分があり、この2種類の素材に強固に接着する接着剤が求められます。そのため、今回はスーパーボンドとスコッチボンドを使用して修理することにしました。
いづれの接着剤もセラミック、金属に対して接着力を発揮しますが、ベースとなる部分にはより接着力の強いスーパーボンドを、皮膜厚さの薄さが求められるセラミックとの境界部には被膜厚さの薄いスコッチボンドを使用しました。
ハイブリットレジンンは金属部部にはオペーク色を使用して金属色を遮断し、その他の部分には数種類のハイブリットレジンンを積層して自然観を出すようにしました。
1歯だけの修理でしたが満足していただけるのではないでしょうか。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2013年9月4日
Preparation(プレパレーション)”という言葉は辞書によると”準備、用意”と訳されています。
歯科では主に補綴物を入れるために歯質を形成(歯を削ること)することを意味しますが、語意からすると単純に歯を削るだけでなく補綴物を入れるための準備と言えます。
歯の削除量は適切なのか、マージンの形態や位置はどのようにするのか、健康な歯肉が維持出来るのか、歯髄に悪影響を及ばさないか、審美性は満足できるのか、清掃性は良いのか、噛み合わせの具合はどうか、多くの事を考慮しながら良い補綴物が入る準備をします。
今後、具体的にどのように行っているのか臨床例を通してご説明します。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院