2013年10月10日
補綴物が脱落しないために
食事中にはずれた補綴物を咬んでしまってイヤな経験をされた方は多いのではないでしょうか。 このような事は避けなければせん。
補綴物が脱落しないためには形成がとても重要となりますが、それは、形成によって作り出される保持形態により補綴物が維持されるためです。
歯は歯軸(歯の縦方向の軸)に対して6°のテーパーで形成され、この歯壁面と補綴物内面との摩擦力によって補綴物は維持されています。そのため、歯が小さい場合は摩擦力も小さくなり補綴物が脱落しやすくなります。
小さな歯でも補綴物が脱落しないようにするには、歯軸の歯壁面にグルーブ(溝)を形成したり、ボックス(溝の幅広タイプ)を形成したりして摩擦力アップに努めます。
このように保持形態を考慮して形成された歯に接着性セメントを用いて補綴物が装着されると脱落を避けやすくなります。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2013年9月20日
歯髄への影響はどうか
歯を削る時はいつも歯髄に損傷を与えないためにはどうすれば良いか考えます。
支台歯形成(クラウンを入れるための形成)では歯の4〜5歯面にわたり歯を削るため、削除刺激が歯髄に加わる機会も多くなります。患者さんのご希望、年齢、歯種、歯の形態、咬合(噛み合わせ)状態などを考慮して補綴物を選択し、その補綴物を作るのに必要なスペースだけの形成量に止め、過度の形成により歯髄に損傷を与えることを避けなければなりません。
削除刺激の中に形成時の摩擦による発熱があり、その発熱を抑えるために形成時は水で形成面を十分冷却しながら行います。
形成時の発熱を考えるとき、歯髄までの距離に注意する必要があります。
形成面と歯髄との距離が0.5mm以下となると歯髄の損傷変化が顕著となるため、歯表面から歯髄腔までの距離を参考に慎重に形成します。
切削時の圧力も影響します。
強い力を加えて形成するとバーと歯質との間に過度の温度上昇が生じ歯髄に損傷を与えてしまうため、歯面をなでるように軽い圧で形成します。
形成時に使用する切削具も歯髄に影響を与えてしまいます。
形成面の仕上げに用いるカーバイトバーはダイヤモンドバーよりも歯髄への影響が大きくなるため、その使用は慎重にせねばなりません。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2013年9月17日
健康な歯肉が維持出来るのか、清掃性は良いのか。
補綴物は歯を削ったスペースに製作されます。そのため、目的とする補綴物を製作するのに削除量が不十分な場合、補綴物は出っ張った形となってしまいます。
大きな補綴物では、食べ物の流れによる歯の自浄作用が得られず不潔になったり、歯ブラシが届きにくくなり、歯肉炎や歯周病を起こす原因となったりします。
また、マージンが不鮮明の場合は適合の良い補綴物を作る事ができなくなり、不適合部分が不潔になり健康な歯肉を維持する事ができません。
清掃性の良い補綴物を入れるためには、作る補綴物に応じた削除量で、適切な位置に設定された鮮明で滑らかなマージンが必要になります。
不適切な補綴物により歯肉が腫脹しています。
清掃性の高い補綴物を入れることにより歯肉の腫脹が改善しました。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2013年9月4日
Preparation(プレパレーション)”という言葉は辞書によると”準備、用意”と訳されています。
歯科では主に補綴物を入れるために歯質を形成(歯を削ること)することを意味しますが、語意からすると単純に歯を削るだけでなく補綴物を入れるための準備と言えます。
歯の削除量は適切なのか、マージンの形態や位置はどのようにするのか、健康な歯肉が維持出来るのか、歯髄に悪影響を及ばさないか、審美性は満足できるのか、清掃性は良いのか、噛み合わせの具合はどうか、多くの事を考慮しながら良い補綴物が入る準備をします。
今後、具体的にどのように行っているのか臨床例を通してご説明します。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院