2020年6月5日
BCシーラーはバイオセラミックス系の根管充填シーラーで、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化ジルコニウム、水酸化カルシウムなどを含み、MTAセメントと同様に高い生体親和性や封鎖性、抗菌性、流動性を持つ根管充填剤です。
BCシーラーを使用する場合は、ガッタパーチャポイントにバイオセラミックスの微粒子がコーティングされているEndoSequence BC Points (BCポイント) を用いて、根管内でシーラーとポイントが一体化(モノブロック化)することを目指します。これは、従来の根管充填材では、ガッタパーチャポイントとシーラーとの間に経時的に隙間が生じて細菌が増殖する可能性が考えられたために、これを防止するためです。
当院ではBCシーラーとBCポイントを用いたシングルコーンテクニックと垂直加圧根管充填を症例に応じて行っています。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2020年6月2日
バイオセラミックスとは、人間の健康保持のために研究、開発、製造されるセラミックスを指しますが、歯内療法の分野では、MTA(Mineral trioxide aggregate)があり、歯内療法専門医では必要不可欠な材料となっています。
MTAは、アルミン酸三カルシウム、ケイ酸三カルシウム、酸化ビスマスなどを主成分として工業用のポートランドセメントから派生したセメントですが、臨床上の特徴は、封鎖性と生体親和性にすぐれていることが従来の材料と比較して特に優れています。
MTAの封鎖性は、24時間後に0.08%とわずかに膨張することで得られますが、これにより根管を緊密に封鎖して、細菌の侵入を防ぐことができます。
また、従来の材料では組織為害性のため周囲組織の治癒が進まない事もみられましたが、MTAでは、良好な生体親和性により周囲組織の生物的活性を高めて、治癒や再生を促すことが報告され、歯内療法専門医では、覆髄、生活歯髄切断、穿孔修理、歯根端切除、アペキシフィケーション、根管充填などに用いられています。
歯根端切除術、術前
術後
黄色部がMTA
治療内容:前歯 歯根端切除術
治療回数:1回
治療費:¥120,000
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2020年5月12日
歯根膜は、歯槽骨、セメント質、歯肉とともに、歯周組織を構成する組織で、歯根と歯槽骨の間にある厚さ約200μmのコラーゲン線維に富む結合組織です。
歯根膜のおもな機能は、歯の支持、感覚機能、セメント質や歯槽骨への栄養供給、恒常性などがありますが、歯の移植や再植では歯根膜の恒常性が特に重要となります。
恒常性とは、セメント質の吸収や修復、さらに歯槽骨の改造などにより、歯根膜の厚みを一定にしようすることで、そのために、歯根膜の細胞は侵襲を受けるとその増殖能が6倍にもなります。
この歯根膜の恒常性のおかげで、移植や再植の際に生じた歯根と歯槽骨の間の隙間を修復して、治療後は健常歯と同じように噛むことができるようになります。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2020年5月5日
接着法には、口腔内法と口腔外法があり、その違いは抜歯の有無になります。
口腔外法は口腔外で接着法を行うために、抜歯をしなければなりません。
抜歯に際しては、破折している歯牙の強度は低下しているために負荷をかけないで抜歯する必要があり、歯根の形態を精査しなければなりません。
右上第一大臼歯の破折のレントゲン写真です。
(黄線:頬側根 赤線:口蓋根)
このように遠心頬側根の彎曲が大きく抜歯が困難な場合は、口腔外法は禁忌となります。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2020年5月4日
歯内療法の目的は”根尖性歯周炎の予防と治療”ですが、そのためには無菌的処置が最も重要となります。
無菌的処置のために注意しなければならないものに唾液があります。
唾液は1ml中に250~300種類の細菌を7 ~8億も含んでいるため、根管治療時に根管内に唾液が入ってしまうと感染が生じてしまいます。
それを防止するために、ラバーダム防湿を行い患歯から唾液を隔離します。
ラバーダム防湿を行っても歯とラバーシートの間には小さな隙間があり、治療中に唾液が滲み出てくることがあるため、オラシールというシーリング材を用いて防止します。
オラシールにより唾液の侵入を防ぐとともに、根管内を消毒する薬剤の誤飲を防止することもできて安心して治療することができます。
ラバーダム防湿に使用するラバーシートはディスポーザブルで使い回す事はありません。
さらに治療に入る前に歯を過酸化水素で、またラバーシートをヨードで消毒して治療環境を整えます。
治療時にはラバーシートがヨードで茶色くよごれたように見えます。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2016年9月13日
9月10日、11日、東京で開催された”Penn Endodontic Global Symposium”に出席して、2日間にわたり世界の歯内療法をリードする米国ペンシルベニア大学の先生方による講演を拝聴することができました。
エビデンスに基づいた臨床の重要さを再認識できた事と、これからの歯内療法を見ることができ、私の臨床に大変参考となる講演でした。