2012年5月28日
根管治療を行う時、歯の崩壊が大きい場合にレジンなどで歯を囲むように壁をつくり、治療中に唾液で根管が感染しないようにします。
唾液には多種の細菌が非常に多く存在していて、歯はその中にあるため、根管治療中は唾液から歯を隔離して無菌的に治療しなければなりません。そのためにゴム製のシートに小さな穴を開けそこから治療する歯だけを出して行いますが、歯の崩壊が大きいとゴムのシートをかけられません。そこでシートをかけやすくするために壁(隔壁)をつくるのです。
歯を唾液から隔離することは根管治療では最も重要なことでマイクロスコープを使用して治療することより重要に思います。
2012年5月25日
“むし歯が深いので神経をとります”と言われた人は多いかと思います。
神経(歯髄)をとることを抜髄といいます。
歯髄は歯の痛みを感じたり、熱さ冷たさを感じたり、歯に栄養を供給したりしています。
歯髄が観察できるようにした標本をみると歯髄は木の根のように複雑な形をして歯の中にあります。その歯髄をすべてとり、薬をつめるのはとても人の手におえそうにありません。できるだけソーとしておきたいと思います。
でも、どうしても抜髄しなければいけない時は、ラバーダム防湿をして感染に十分気を付け、マイクロスコープを使い行います。
2012年5月23日
最終補綴物、テンポラリークラウンなどを口腔内に装着するとき、咬み合わせで問題を生じないよう口腔内全体のバランスをみながら装着物の咬み合わせの面を慎重に調整します。
調整には咬合紙を使用しますが、当院ではドイツHANEL社製の厚さ12ミクロンのフォイルを使用して咬合関係を理想的な状態に近づけるようにルーペで見ながら少しづつ削合して調整します。
咬合調整が不十分だと食事の時に咬むと痛みを生じます。対合歯との間に隙間があると違和感や痛みは生じませんが咬み合わせがずれてしまうことがあり注意しなければなりません。
2012年5月22日
2008年に352台、2009年に382台、2010年に510台が全国の歯科医院に導入され、2008年以前に導入されたと思われる台数も加えると2010年の時点で約2500台が全国の歯科医院が保有しています。
2010年で全国には約68000軒の歯科医院がありますが、まだまだマイクロスコープは普及しているとは言えず、普及率は3.7%ほどです。
しかも実際に治療で使用されているマイクロスコープはさらに少ないそうです。
2012年5月16日
印象採得で型をとる時に使用する材料です。
主に使用されている材料にはアルジネート、寒天、シリコンラバー、ポロサルファイドラバーなどがあります。当院ではラフな印象採得にはアルジネートを最終補綴物の印象採得には3M社製のシリコン印象材を使用しています。
シリコン印象材は寸法精度や安定性が非常に優れていて、薬品による消毒が容易なため院内感染だけでなく補綴物を製作する歯科技工士への感染が予防できます。
また、シリコン印象材は仮歯を製作する時にも使用しますが寸法精度がよいため仮歯を以前の歯と同じにつくることができます。
2012年5月15日
トレーとは印象採得(型取り)をする時に印象材(型取りの材料)をもり、口腔内に入れる物で既製トレーと個人トレーがあります。当院では最終補綴物の印象採得にはすべて個人トレーを用いています。
個人トレーは患者さん個人の歯並びに合わせて個別に制作します。
まず個人トレーを制作するために既製のトレーを用いて型取りをし、取った型に石膏を流し入れ模型を作ります。この模型の歯列全体に一定の厚さでワックスをもり、その上にレジンを一定の厚さでまいて制作します。
こうして制作した個人トレーを使用して印象採得すると印象材の厚さを薄く均一にすることができ、印象採得時の印象材の歪みや寸法変化を最小限に抑えることができるため非常に精密な模型を作ることができます。
最終補綴物はこうしてできた精密な模型を使って制作されるため精度の高い補綴物をご提供することができます
2012年5月13日
テック、テンポラリークラウン、プロビジョナルレストレーションなどと言われています。
最終補綴物が入るまでの間、削った歯に被せておくものですが大変重要な役目をはたします。
当院で仮歯のために費やす時間の割合は治療全体の3割ほどになります。
仮歯は形態や咬み合わせ、適合などに気を配りながら表面を滑沢に仕上げます。
また仮歯は削った歯に被せておくだけでなく、歯肉の状態を改善したり、噛み合わせの改善など治療にも用います。
患者さんの中には仮歯でいいとおっしゃる方もいらっしゃいます。
しかし、仮歯は樹脂で製作しますので滑沢に表面を研磨しても最終補綴物のように滑らかにはできません。粗さがありプラークが付着しやすいため不潔になりやすかったり、長期間使用すると仮歯をつけているセメントが劣化してムシ歯になったりしますので、これでいいと思わないでください。
2012年5月3日
歯内療法を行った歯は、抜歯になることが多いと思われていませんか。
ある報告では、歯内療法をした歯の97%が口腔内に維持され、残りの3%は抜歯を含む追加の治療が必要となったと報告されています。歯内療法は大変予後の良い治療法なのです。
では、歯内療法をして抜歯となった歯の原因は何だったのでしょうか。
内訳は保存不可能なう蝕が61%を占め、ついで根管治療の失敗12%、歯牙破折9%、穿孔9%、歯周病5%の順となっています。
歯内療法をした歯を長く使用していくには歯内療法後に歯を放置して虫歯にしないことや、質の高い歯冠修復処置を続けて行うことが非常に重要となります。