2016年8月29日
皆さんは、ご自分の歯の健康を正しく意識されているでしょうか?「硬いものが食べづらくなったのは年のせい」「歯は年とともに悪くなり、いずれは抜けてしまうもの」などと、あきらめていませんか?
実に成人の8割以上が歯周病にかかっているといわれるわが国では、残念ながら歯の疾患の正しい知識や予防への意識が低いといわざるを得ません。日本人の多くは、「歯周病は特別な病気、自分はかかるはずはない」と考えているようです。ましてや、歯周病で歯を失うことなど、想像もしていないのではないでしょうか。
その証拠に、よほどの激痛が起こらない限り、歯科は受診しない。そんな人が少なくありません。しかし、激痛のようなはっきりした症状が現われたときには、すでに歯の疾患はかなり進んでいるのです。
ここでは、代表的な歯の疾患である歯周病について、そのメカニズムや治療法を紹介していきますので歯科医院を受診する前に十分予備知識を持ち、正しい歯科医の選択を行っていただきたいと思います。
そこで、まずは見過ごされがちな歯周病の症状をチェックしてみましょう。年のせい、あるいは体質だとあきらめていた症状も、実は歯周病を知らせる警告かもしれません。「毎日、欠かさず歯磨きをしているから大丈夫!」という人も、一度、歯の健康をチェックしてみてください。
1.朝起きたとき口のなかがネバついている
2.歯をみがくと、歯ぐきから血が出る
3.歯と歯の間に食べ物がよくはさまる
4.歯ぐきの色が赤い、あるいは赤黒い
5.歯ぐきがムズムズする、あるいは痛んだりすることがある
6.歯ぐきを押すと、膿が出ることがある
7.歯がぐらぐらする、歯のすき間が広がった
8.以前より、歯が長くなったように見える
9.冷たい水が歯や歯ぐきにしみる
10.口臭がある
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2016年8月26日
しっかり噛んで食べる。普段はあまり意識することない「食べる」という行為は、生きることの基本でもあります。
私たちの体は、栄養がなければ生命を維持することはできません。ガソリンがないと車が動かないのと同じ。食べることによってエネルギー補給しなければ、体は機能しなくなり、餓死してしまいます。
おいしい食事は、日々の生活を楽しみの1つでもありますが、それ以前に、食べることは生命活動を支える行為でもあるのです。
そして、この「食べる」という行為を支えているのが「歯」です。何でもしっかり噛んで食べられる健康な歯があってこそ、食事を楽しめる。さらには、健康な体を維持できるといえます。
ところが、わが国では、歯の大切さを軽視する人がいまだ後を絶ちません。「むし歯が傷むので神経を取ってください」と、簡単に要求する患者さん。美容目的だけで、簡単に歯を被せてしまう人など。自分の歯は、一度削ってしまうと二度と元にはもどりません。どんなに優れた被せ物でも、自分の天然歯にはかなわないのです。
歯の疾患に悩む人が多いのは、大切さを軽視するがゆえに正しい知識を持たず、治療を先送りにしたり、予防を怠ることが大きな原因といえます。
歯の疾患の正しい知識と予防への意識を高めるために、歯と口腔の健康について、もう少しくわしくお話しましょう。
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2016年8月24日
ストレスが歯周病に与える影響は、大きく分けて2つ考えられます。
まず一つは、ストレスが直接歯周組織に与える物理的な影響です。人はストレスを感じると、無意識のうちに歯を強く食いしばることがあります。上下の歯を頻繁に強く噛みしめていると、歯周組織が圧迫され、ひどくなると歯牙の小さな破折を起こしたりします。そのような小さな破折線に沿って歯周病菌が増殖し、歯周病を発症したり、悪化させたりしてしまうのです。
また、就寝中にみられる歯ぎしりの多くも、ストレスが原因といわれています。歯ぎしりとは、寝ている間に無意識のうちに上下の歯をギリギリと強くこすり合わせることをいいますが、歯ぎしりも歯周組織に物理的な刺激を与えます。結果、歯周組織への圧迫が歯槽骨の破壊につながり、歯周ポケット深くし、炎症引き起こすことがあるのです。
もう一つ、ストレスは全身の免疫力の低下を招き、これによって歯周病を悪化させたり、治りにくくすることがあります。私たちの体は、自律神経系、内分泌(ホルモン分泌)系、免疫系の3つがバランスを取り合うことで健康を維持しているのですが、強いストレスにさらされると、自律神経のバランスが崩れることがあります。すると、内分泌系のバランスが乱れ、結果、全身の免疫力も低下し、歯周病菌の増殖、歯周病の悪化へとつながる可能性が高くなります。
ストレスが全身のあらゆる病気と深い関わりが指摘されていますが、歯周病も例外ではありません。歯周病を発症・悪化させないためにも、ストレスはため込まず上手に解消することが大切です。
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2016年8月22日
喫煙による害というと、真っ先に挙げられるのががんでしょう。欧米の研究によると、がん全体の30%、肺がんについては90%近くが喫煙の影響と考えられています。そのほかにも、喫煙は肺気腫など呼吸器系の病気、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす原因として知られており、妊娠や出産への悪影響も指摘されています。
「百害あって一利なし」といわれるたばこですが、実は歯周病も喫煙の影響が非常に大きい病気の一つなのです。
喫煙は、さまざまな方向から口腔内の環境を悪化させます。まず、たばこに含まれるニコチンや一酸化炭素には、血管を収縮し、血液の流れを悪くする作用があります。歯肉の血流が悪くなると、歯肉に酸素や栄養が十分に行き届かず、歯周病菌と戦う免疫機能も低下してしまいます。一酸化炭素には、血液中の酸素を運ぶヘモグロビンと結びつき、酸素の運搬能力を低下させる作用もあり、歯肉はさらに酸素不足に陥ります。結果、歯周病を引き起こしたり、悪化させることにつながるのです。
一方で、喫煙は歯肉の細胞の活性を抑制するため、炎症を起こした歯肉の回復を妨げ、治りにくくします。また、唾液の分泌を抑制するため、唾液の洗浄作用や殺菌作用が十分に働かず、歯周病菌を増殖させる原因にもなります。
歯周病治療の第一条件に、「禁煙」を挙げる歯科医も少なくありません。直ちに禁煙することが、歯周病の予防・治療の第一歩です。
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2016年8月19日
みなさんは、よく噛んで食べているでしょうか? 歯周病に悩む人は、あまり噛まずに食べている人が多いものです。実は、この「よく噛む」という食べ方も、歯周病の予防には大切な要素なのです。
最近は、硬いものをうまく噛めない子どもが増えています。ハンバーグやオムライスなど、子どもの好物はやわらかいものが多く、時代と共に親もそうしたものを子どもに食べさせることが多くなりました。このような環境で育った子どもは、あごの骨の成長が遅れがちです。結果、歯の成長とのバランスの崩れから歯並びが悪くなることが多いのです。同時に、硬いものを避けてよく噛むことしないため、あごの関節の機能や噛むための筋肉の機能も低下していきます。
さて「よく噛まない」ことによる口腔の機能低下は、子どもたちだけの問題ではありません。現代人は昔に比べると、ずいぶんと噛む回数が減っているといいます。現代人の噛む回数は、昭和10年代の頃の約2分の1だそうです。
噛む回数が少ないと唾液の分泌が少なくなります。唾液には歯周病菌やむし歯菌の繁殖を抑え、口腔内の環境を整える作用がありますから、歯周病予防には十分な唾液の分泌が必要なのです。
さらに、唾液の分泌が少ないと、食後の酸の中和や、再石灰化という歯の修復作用が十分に行われず、むし歯菌を蔓延させることになってしまいます。歯周病やむし歯に侵されると、よく噛むことができなくなり、さらに歯周病やむし歯を悪化させてしまうという悪循環に陥ります。そうなる前に「ひと口20~30回」を目標に、よく噛んで食べる習慣をつけましょう。
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2016年8月17日
歯周病は口腔内の細菌によって引き起こされる感染症であり、直接の原因は細菌の温床となるプラークやバイオフィルムです。しかし、単純に細菌の多い少ないだけで、発症が決まるわけではありません。もちろん、プラークやバイオフィルムをしっかり取り除くこと、作らせないことが歯周病予防の第一歩なのですが、それ以外にも、口腔内や生活習慣のなかには、歯周病の発症や悪化につながるリスクファクターが潜んでいます。
たとえば、深い歯周ポケット、歯並びやかみ合わせの悪さ、歯ぎしりや口呼吸などの癖、むし歯やむし歯の不適切な処置などは、プラークの増殖や炎症悪化の原因となる局所的リスクファクターです。一方、飲食の回数などの食習慣、喫煙、ストレス、肥満や糖尿病の有無などは漸進的リスクファクターとして間接的に歯周病を悪化させることがわかっています。
以上のように歯周病にはいくつかのリスクファクターが明らかになっており、これらのリスクには個人差があります。通常の治療を行っても、歯周病が進行しやすい人、再発しやすい人がいますが、その差は各自が持つさまざまなリスクの差にほかなりません。
自分のリスクファクターを知り、弱点を改善する「リスクコントロール」こそが、真の治療の第一歩といえるのです。
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2016年8月15日
妊娠中に歯周病にかかっていると、通常の出産に比べて、早産や低体重児出産の危険性が約7倍になるという報告があります。アルコールやタバコが妊婦や胎児に与える悪影響は、みなさんもよくご存知でしょう。しかし、歯周病の悪影響は、なんとアルコールやたばこの約2倍といわれているのです。
早産とは、妊娠期間22~36週の出産をいいます。早産は妊娠週数が短いほど、胎児に大きなダメージを強いることになります。一方、低体重児出産とは、出生時の体重が2500g未満で生まれた赤ちゃんのことをいいます。低体重児出産の原因は早産が多いのは当然ですが、子宮内での胎児の発育が遅れることも多く、その原因としては妊娠中毒症や喫煙、そして最近は歯周病も危険因子の一つとして取り上げられています。
歯周病の炎症の過程では、細菌と闘うためにサイトカインなどの生理活性物質が作り出されます。その一つに、プロスタグランジンという物質があり、プロスタグランジンには子宮を収縮させる作用があるのです。プロスタグランジンの子宮収縮作用はとても強力で、陣痛促進剤として使われるほどです。妊娠の早い時期からプロスタグランジンの作用を受けていると、予定日まで日数があるのに陣痛が促進され、早産となってしまいます。また、早産にならなくても、頻繁に子宮の収縮が起こっていると胎児は胎盤から十分に酸素や栄養をバランスよく取り込むことができず、発育が妨げられます。
健康な赤ちゃんを出産するためにも、妊婦はもちろん、これから出産を考えている女性は、歯周病の予防治療を徹底してください。
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2016年8月12日
歯周病は歯周病菌による感染症です。そのため、歯周病菌が歯肉の血管から全身に広がることで、全身のさまざまな臓器に新たな感染症を引き起こすことがあります。
なかでもよく知られているのが、心内膜炎です。心内膜とは心臓の内側を覆っている膜のことをいい、心内膜に細菌が感染して炎症を起こす病気が心内膜炎です。心内膜炎の原因菌の約半分は、口のなかの細菌(口腔常在菌)の一つである緑色連鎖球菌ですが、これが歯周病の原因菌の一つとされています。
口の中の細菌は、しばしば血管に入り込んでいるのですが、健康な人の場合、免疫による防御機能が働き、入り込んだ細菌を撃退しているので、感染することはめったにありません。しかし、口のなかの細菌は非常に付着する力が強く、ときに心臓弁膜などに定着して増殖し、心内膜炎を起こすことがあります。なかでも歯周病菌は、外毒素である白血球毒素を持っており、免疫細胞である白血球に抵抗して心臓弁膜に付着・定着するといわれています。
心内膜炎は、もともとも別の疾患を持っている人に起こりやすく、先天性心疾患で心臓の弁に障害のある人や、ペースメーカーを付けている人などは、とくに注意が必要です。
また、歯周病菌は血管を介さずに、ほかの臓器に感染することもあります。誤嚥性肺炎は、食べ物や飲み物が誤って気管に入り、その際に口の中の細菌も一緒に入り込むことで起こります。誤嚥性肺炎の原因としても、歯周病菌はよく知られています。誤嚥性肺炎はとくに高齢者によく起こる病気ですが、歯周病もまた高齢になるほど増えてきます。加齢にともない、歯周病予防の重要性が高まるということです。
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2016年8月10日
近年、何かと話題の「メタボリックシンドローム」。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に高血糖、高血圧、脂質異常症といった複数の生活習慣病を併せ持った状態をいいます。それぞれの病気は単独では軽症でも、複数の病気が重なると動脈硬化が進みやすく、心筋梗塞や脳卒中の危険性を高めるとして、予防・改善の必要性が叫ばれています。
実は、歯周病はこのメタボリックシンドロームとも深いかかわりがあるといわれています。九州大学の研究者の調査によると、肥満の人はそうでない人に比べて3.4倍、重度の肥満の人になると8.6倍も歯周病になりやすいことが証明されています。一方で、歯周病には、メタボリックシンドロームの危険因子の一つである糖尿病とも深く関係しています。
つまり、肥満と糖尿病を併せ持っている人は、メタボリックシンドロームが進みやすいと同時に、歯周病の危険も高まるということです。メタボリックシンドロームと歯周病は、それぞれが動脈硬化を進める危険因子となるため、両者が肩を並べて進行すると、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険性をますます高めることになります。
また、メタボリックシンドロームの危険因子である高血糖、高血圧、脂質異常症は、いずれも食生活が深く関連している病気です。食生活の改善はこれらの生活習慣病予防の基本でもあり、ポイントは「バランスの良い食事をよく噛んで食べる」ことにあります。その土台となるのが、歯の健康です。メタボリックシンドロームの予防・改善のためにも、歯周病から歯を守ることが大切といえるのです。
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2016年8月8日
歯周病にかかっている人は、そうでない人に比べて、狭心症や心筋梗塞にかかる危険性が約2倍も高いといわれています。これには、動脈硬化という血管の病気が深くかかわっています。
動脈硬化とは、血管の内壁にコレステロールなどが付着し、血管が硬く狭くなった状態をいいます。動脈硬化が進行すると、血栓(血の塊)ができやすく、血管が詰まったり血管が破れて出血するなどの危険性が高まります。
狭心症や心筋梗塞は、心臓に酸素と栄養を供給している冠状動脈の動脈硬化によって引き起こされます。冠状動脈の血流が不足して、心臓が酸素・栄養不足に陥ると狭心症となり、さらに酸素と栄養の供給が完全にストップすると心筋梗塞に陥り、心臓は壊死してしまいます。
以前は、コレステロールなどの脂質が血液中に多くなりすぎる高脂血症が、動脈硬化の大きな原因とされてきました。しかし最近の研究では、細菌やウイルスの感染が動脈硬化の発症に深く関わっているという見方ができました。細菌やウイルスの感染によって、血管の内壁に炎症が起こり、これが動脈硬化の発症・悪化の引き金になっているというのです。
動脈硬化を起こした血管壁から、歯周病菌が発見されたという報告は多々あります。歯周病菌が歯肉の血管を介して全身の血管へと広がり、動脈の血管壁に感染して炎症を引き起こします。結果、狭心症や心筋梗塞、さらには脳卒中などの危険性を高めるのです。心筋梗塞や脳卒中は、命を落とすこともある重大な病気です。たかが歯周病、歯の病気ではないかなどと、あなどってはいけません。
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