側枝 臨床編
2013年11月6日
側枝のみられた症例の中から4例をご覧下さい。
右上第1大臼歯の痛みで来院された方の症例です。
近心頬側根の側面に病巣(黒い影)があります。(赤線で囲まれた所)
根尖部に病巣がないので近心頬側根に側枝の存在が疑われ、赤線で囲まれた所の真ん中付近にあるように思えます。
ラバーで歯を隔離して感染に十分注意をしながら顕微鏡(マイクロスコープ)を使って根管内を調べましたが、側枝を確認することはできませんでした。
根管内を機械的に拡大して薬剤で十分に殺菌を行い、加圧しながら根管充填をしました。
術後のレントゲン写真ですが近心頬側根の側枝(赤い矢印)に根充材が入っていることがわかります。
術後12ヶ月の状態です。病巣はなくなり,治癒したと思われます。
同じく左上第1大臼歯の症例です。
近心根、遠心根、口蓋根ともに病巣(黒い影)がみられます。特に近心根では歯根全体を覆う程の病巣(赤い線で囲まれた部分)があり、抜歯も考えられます。
患者さんの強いご希望もあり治療をすることにしました。
術後25ヶ月のレントゲン写真です。
近心根、口蓋根に根尖付近に側枝がありました。(近心根は少し分かりづらいですが)
近心根の病巣はかなり小さくなっていますが、まだ、根尖部に少し残っています。歯根表面が感染してバイオフィルム(細菌の塊)があるのではないでしょうか。
患者さんに痛みや腫脹など症状はありません。
上顎前歯の症例です。
根尖付近に側枝が確認出来ます。(矢印部分)
上顎小臼歯の症例です。
わかりにくいですが2カ所に側枝が見られます。(矢印部分)
根管治療では側枝に根管充填する事が目的ではありません。
根管内を機械的、化学的に清掃して細菌をできるだけ減らし、緊密に根管充填することで残ったわずかな細菌を封じ込め,活動を抑えることを目的にしています。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院