口は細菌の倉庫だ1
2017年8月5日
人間の体は1本の管のようなものだという考え方があります。その管は口と肛門を介して外界とつながっています。
「入り口である口は出口であるお尻より汚い」といったら何を言っているのだと思われるかもしれませんが、事実です。
人の体は皮膚という防護壁で守られています。その次の防護壁は口・鼻・気管支・胃・腸などにある粘膜です。粘膜は、粘液や非常に細かい毛で覆われていて、体を様々な細菌の侵入から防いでいます。
口も内部は粘膜におおわれていますが、むき出しのまま多くの細菌と接触しています。
ここが、体の中に収められている他の臓器と大きく違うところです。
口から体の中に入った細菌は胃酸によってその多くが死滅し、さらに腸管には独自の乳酸菌が働いて体に害になるようなものはやっつけてしまうので、お尻から便となって出てくる細菌の種類はごくわずかです。口の中の粘膜にはそれほどの働きがないので、いろいろな細菌が繁殖しています。
口の中にいる細菌は「口腔常在菌」「日和見菌」「歯周病菌」「う蝕菌」などに分けられます。口腔常在菌は、常に口の中にいる細菌のことです。日和見菌は免疫がしっかりついている人の口の中にはいません。
その力がまだしっかり備わっていない子どもや、免疫力の落ちているお年寄りや病人の口の中にいます。歯や入れ歯の表面にできるバイオフィルムの中にいる細菌が、抗生物質に抵抗力のある遺伝子を持つ細菌との間で、組み換えを起こしています。これは体に害を及ぼす細菌で、院内感染を起こします。