根管治療とは14
2017年4月19日
根管(神経を取ったあとの)は一度傷をつけたり、破損したりすると再生しません。血管が通っていませんから「自然治癒能力」が期待できないのです。したがって、歯根を切り開いて中の治療をするということは不可能なわけです。骨に埋まった状態で治療するしか方法がありません。根管治療は資格のみを頼りにするわけにいかゆかないのです。そこで触覚、指先の感度が重要な治療能力の一つになってきます。このことが他の治療法と異なることと言えるかもしれません。
さらにもう一つやっかいなことがあります。根管(神経がおさまっていた空洞)は固い象牙質で囲まれています。根管形成(根管を一定のデザインに形づくること)とは、あたかもつぼの内面を注意深く削り取ってゆくようなものです。
ある物を形づくっていくとき、当事者は最初に必ず、対象物の形をイメージとして頭の中に描きます。歯髄腔(神経が入っていた空洞=根管)は形あるものではありません。空間です。空間認識ができなければ、言いかえると、神経が入っている空洞を頭の中に描くことができなければ(実際に歯髄腔をよく観察した人間でなければ、この能力は身につきません)、望ましい根管を形づくる事はできません。もしこの能力が欠如した歯科医が根管治療をしたらどうでしょうか。切削器具が凶器となり、誤って根管に横穴を掘ってしまう事故を起こします。