歯周病を起こしやすい条件とは9
2017年2月13日
心臓に感情動脈硬化症を持つ患者さんの病変部位からは、歯周病原菌の一つであるポリフィロモナス・ジンジバリスがよく掲出されること、さらにこの細菌はジンジパインという血液凝固作用の極めて強い酵素を作ることからも、心筋梗塞や狭心症との関連が考えられています。
そのほか、歯周病にかかり、歯肉に炎症が生じて出血を起こしやすくなると、歯垢中の細菌が一時的に傷口から血流に入る菌血症を引き起こし、心臓に障害のある患者さんでは、心臓の病変部位に血液中を流れてきた口腔内細菌が付着して、細菌性心内膜炎を引き起こすことがわかっています。さらに低体重児出産に関しては、中等度以上の歯周病を持つ母親が低体重児を出産する確率は、歯周病を持たない人の7.5倍になるといわれています。
呼吸器疾患との関係では、とくに高齢の患者さんでは、誤って唾液を肺に入れてしまうことがあり、これが原因となり肺炎になってしまう誤嚥性肺炎が、歯周病と関係のある疾患としてあげられます。肺からの吸引物から分離される細菌に、歯周病原菌といわれる種類の口腔内細菌が多く検出されるためです。
これを証明するように、要介護高齢者施設からは、1ヶ月に平均7日ほどの発熱を起こすお年寄りに対し、介護者が口腔内清掃を徹底することで、発熱を起こす日数を4日ほどに減少させることができたと報告されており、高齢者に対する口腔衛生の重要性が改めて示されています。