歯周病を起こしやすい条件とは5
2017年2月3日
喫煙とアルコール
歯周病にかかりやすくなる因子として、もっとも影響が大きいとされるものに喫煙があります。タバコの煙には、多くの有害物質が含まれていることは、みなさんもよくご存知のことと思いますし、歯周病だけでなく、全身に悪影響を及ぼすことも十分ご承知のことと思います。
とくに有害なものとしてはタール、ベンツピレンなどの発がん性物質、チッ素酸化物、一酸化炭素、ニコチンなどがあります。一酸化炭素濃度が口腔内で上昇すると、酸素を嫌う嫌気性の歯周病原菌が増殖しやすい環境をつくることになります。
また、ニコチンは血管を収縮させ、粘膜内の血流を減少させ、炎症を増悪させたり、傷害の加わった歯周組織の回復を阻害したりします。そのほかにも、免疫機能を低下させることや、白血球の異物処理能力を阻害することが知られていて、歯周病の進行に関与していることが分かります。
最近の調査では、タバコを吸う人の歯周病になる危険率は、2~9倍に高まることがわかってきました。タバコを吸う本数が多くなればなるほど、その危険率も高まります。またタバコは、歯周病を引き起こしやすくするだけでなく、治療後の回復も遅らせることが最近の研究でわかってきました。さらに、ニコチンの作用により血管が収縮するために、歯茎の炎症が見かけ上、隠されてしまい、一見歯周病が無いように見え、ひどい歯周病が見逃されてしまうケースも多くみられます。
アルコールとの関係では、アルコール自体には歯周病を悪化させる作用はありません。しかし、飲酒後のブラッシングに問題があります。飲酒される方ならお分かりのように、お酒を飲んで気持ち良くなったあと、歯ブラシでていねいに歯を磨こうという気持ちが湧いてくるでしょうか。お酒とおいしい肴を適度に楽しむことは結構なことですが、その後のブラッシングも欠かさないでください。