歯周病はなぜ起こるか2
2017年1月16日
歯肉が腫れ、歯と歯茎の隙間が広がって、いわゆる歯周ポケットを形成するようになると、深い歯周ポケットの底には、空気を嫌う嫌気性細菌が増えてきます。この嫌気性菌の多くが歯周病原菌で、歯肉に炎症を起こし、さらには歯を植えている歯槽骨を溶かしていくことになります。
細菌の種類としては、成人性歯周炎をひきおこすポリフィロモナス・ジンジバリス、妊娠性歯周炎や思春期生歯周炎などを引き起こす、プレボテーラ・インターメディア、若年性歯周炎を引き起こすノバシラス・アクチノマイセテムコミタンスなどが知られています。
歯周病原金は直接的には種々の酵素(タンパク分解酵素、ヒアルロン酸分解酵素など)や、細胞に対して毒性を持つ物質(酪酸、硫化水素など)の働きを用いて歯周組織を侵襲します。また、細菌自体を構成する物質(菌体内毒素などのリポ多糖=LPS、ロイコトキシン)などは、歯周組織内で免疫反応を引き起こすことで、間接的に歯周組織を破壊させることになります。
すなわち、細菌により歯肉が腫れ、歯周ポケットが形成されると、歯周ポケットの底に空気を嫌う嫌気性の歯周病原菌が増え、これらの細菌により直接・間接的に歯周組織に炎症が生じて、歯周組織の破壊が進むことになります。強い噛み合わせなども歯周病を進行させますが、基本的には細菌が存在しなければ歯周病は生じません。