歯周病を起こしやすい条件とは1
2017年1月25日
遺伝的要因
歯周病は、細菌による感染症であり、細菌由来の病原因子(細菌の量・種類、細菌の付着期間)が、生体の持つ抵抗性の閾値を超えてしまうことで発症します。しかし、若くして発症し、急速に進行するある種の歯周疾患では、1960年代後半から、家族性に多くの発症がみられることが報告されるようになり、遺伝的な因子の存在が考えられるようになりました。つまり、遺伝的な素因が強ければ、細菌の量が少なくても、細菌に感染している時間が短くても、歯周病が進行ししまうことになります。
実際に前思春期性歯周炎、若年性歯周炎、急速進行性歯周炎といった早期に発症し、進行の早い歯周疾患では、生体における防御機構のどこかに遺伝的な破綻が生じていると考えられています。しかし、現在のところこのような歯周疾患に関与する遺伝子の特定は行われておらず、いまだ研究の段階です。
ただし、家族性に発症する歯周疾患の場合は、家族間で歯周病原菌が親から子へと垂直感染することも考えられます。また、歯周病を起こしやすい習癖や嗜好、歯ブラシの使い方などが似ていることも考えられ、歯や歯茎のかたちが似ていることも考えられます。
このように、いちがいに遺伝的な因子が関与していると断定しにくい点も、歯周疾患の遺伝的要因の研究を難しくしています。詳細については今後の研究を待たなくてはなりません。