失われた歯周組織の回復を促す歯周組織再生誘導法「GTR法」
2016年10月21日
最近注目されているのが、失われた歯槽骨の回復を目指す「歯周組織再生誘導法」です。
なかでも「GTR法」は、特殊な膜(誘導膜、バリヤー膜、メンブレンなどとよばれている)を使って、歯槽骨やセメント質、歯根膜の修復を図る療法です。GTR法の原理を理解するために、まずは歯周組織の自然修復力について、簡単に説明しておきましょう。
実は、歯周組織は歯肉だけでなく、歯槽骨やセメント質、歯根膜にも自然修復力があります。それならば、フラップ手術後は、歯肉とともに歯槽骨も修復されるのでは?と思われるでしょう。しかし、歯肉の上皮は修復のスピードが非常に速いのですが、それにくらべて歯槽骨や 歯肉結合組織、歯根膜は修復が遅いため、歯槽骨などの歯周組織が育つべきスペースに新しい上皮がどんどん入り込みます。結果、歯槽骨や歯根膜の修復が追いつかないうちに、歯肉上皮の修復が完了してしまうのです。
骨の再生のためには、上皮だけが早く修復されてはいけません。そこで、GTR法では、フラップ手術の最後の縫合前に、歯肉と歯根の間に膜を入れてすき間をつくり、上皮の成長を阻みます。これによって、上皮の入り込みが阻止されるため、歯槽骨などの歯周組織はゆっくり自然に修復されていきます。
GTR法は歯周病の画期的な治療法ですが、すべての歯を救えるわけではありません。歯槽骨の破壊のされ方や程度によっては、適応外となります。
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