歯周組織再生医療法「エムドゲイン療法」
2016年10月24日
「エムドゲイン療法」は、歯周組織再生療法の一つです。手術の手順はGTR法とほぼ同じですが、エムドゲイン療法には膜を置いてすき間をつくる代わりに、エムドゲイン・ゲルとよばれるジェル状の歯周組織再生誘導材料ですき間を満たします。
エムドゲイン・ゲルの主成分は「エナメルマトリックス抽出物」といって、幼若豚の歯胚から抽出精製されたもので、子どもの頃、歯が生えてくるときに重要な働きをするたんぱく質の一種です。象牙質の表面にエナメルマトリックスが存在すると、セメント芽細胞を含まない硬いセメント質(無細胞セメント質)が形成されます。
一方、GTR法では、膜を使ってすき間をつくるだけなので、エナメルマトリックスは存在しません。それでも、歯槽骨に歯根を固定させるセメント質は形成されますが、セメント芽細胞が含まれた有細胞セメント質になります。
エムドゲイン療法ではジェル状の薬剤が歯肉の入り込みを防ぐだけでなく、主成分であるエナメルマトリックスが歯周組織の再生を促します。しかも、歯の発生過程に近い環境を再現することによって、初めて歯が生えてきたときと同じような強固な付着機能をもつ歯周組織を再生するのです。
エムドゲイン療法は、GTR法にくらべて術法が簡便で、使用する薬剤は吸収されるため、取り除くための手術も必要としません。これらの点では現在もっとも優れた治療法といえるのですが、重度に進行した歯周病は適応外となるなど、適応範囲が限られているのが現状です
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