なるべく歯を抜かない治療 ~歯根挺出(エクストルージョン)~
2014年9月19日
虫歯が大きく、歯肉の中まで虫歯が広がってしまったなどで、歯肉より上の歯がほとんどなくなってしまった場合、ほとんどの医院様からは抜歯を提案されるかと思います。
なぜなら、そのような状態になると、歯の上に歯肉が覆いかぶさってしまい、かぶせ物をする際に精密な印象が取れなくなったり、細菌感染のリスクが高まったりするため、結果として、一時的に治療して良くなったとしても、すぐにまた問題が発生することが容易に想像できるからです。
このようなケースの場合、条件にもよりますが、歯根挺出(エクストルージョン)と呼ばれる方法や、歯冠長延長(クラウンレングスニング)と言った技術を使って歯を残せる可能性もあります。
本日は、このうちの、歯根挺出(エクストルージョン)についてお話しさせて頂きます。
歯根挺出(エクストルージョン)とは、矯正の技術を使って、歯肉に埋もれた歯を引っ張り上げる方法です。
歯を歯肉より上に引っ張り出すことが出来れば、それを土台に適合性の高いかぶせ物を作ることが出来ますので、歯を残せる可能性が格段に高まります。
もちろん、歯が歯肉の中に埋もれていても、人工の土台(コア)を入れてその上にかぶせ物をかぶせることも可能なのですが、 土台として接触する象牙質の部分(フェルールと言います)が多ければ多いほど、歯へのダメージが少なく、予後が良いとされており、うまく出来れば、抜歯宣告された歯でも10年以上機能させることも可能です。
このように、抜歯が必要と言われた歯でも、条件によっては、残すことが可能なのですが注意点としては、
・歯を少しづつ動かしながら行うので、治療期間が長くかかる。
・引っ張り上げた分、歯の根が短くなるので、かみ合わせを支える力が弱くなる。
・歯を動かすのと同時に歯肉も上がってしまうので、後日、外科処置が必要になる場合がある。
といった事が挙げられます。
また、上記の治療は、健康保険の適用にならない上、この技術を取得している歯科医師も少ないという事もあり、一般的に行われる治療ではございません。
更に、どんな歯にも適用できるというわけではありませんので、一度信頼できる歯科医師に相談してみることをお勧めいたします。
当院では患者様の「歯を残したい」という要望に応えられるよう、常に最新の情報や技術を取得し、不得意科目を作らないように全体のレベルアップを図っております。
http://www.icco-d.com/0504concept/