虫歯の正体はこうしてわかった4
2017年7月24日
虫歯の原因菌がミュータンス菌であるとようやくわかったのは、無菌動物を使って虫歯の研究ができるようになったからです。
完全に外界と隔離した無菌環境で飼育された無菌動物に、虫歯が発生しやすいエサをいくら与え続けても虫歯は発生しませんでした。このことでまず、虫歯は細菌によって引き起こされることが証明されました。
次に、無菌ラットに様々な細菌を接種して虫歯を発生させられるかどうか実験してみました。
その結果、ミュータンス菌を摂取した無菌ラットには虫歯が発生しますが、他の菌種、例えば乳酸桿菌では虫歯は発生しませんでした。この動物実験によって、ミュータンス菌によって虫歯が起きることが証明されたのです。
乳酸桿菌は、本来、体にさまざまな病原体が入ってくるのを防ぐよい細菌ですが、ミュータンス菌といっしょになると悪い仲間に引き入れられて、虫歯作りに協力してしまう細菌だったのです。
乳酸桿菌は、口の中にくっつく場所(レセプター)を持たないので、ふわふわ浮いています。そのため、ミュータンス菌にくっついて歯の表面に検出されることもありましたし、強い酸性状態でも生きられるので、虫歯菌と間違えられてしまったのです。
ただ、本来はよい細菌なので、ラットに植え付けても虫歯が発生する事はなかったというわけです。