根管治療とは11
2017年4月12日
それではなぜ根管は密閉しにくいのでしょう。そして、根管(神経が入っている管)はいったいどのようになっているのでしょうか。神経が入っている管というのは、複雑になっています。前の歯6本に関してはほぼ単純と言えるかもしれません。しかし、奥歯になりますと非常に複雑になってきます。実は神経(歯髄)は象牙質を作ってきた残りものなのです。
ところで、上顎大臼歯は根管が網目状になっているところがあります。管の先端まで充填物を詰めなければ、すべて悪くなるのかという疑問を持ちます。しかし、かなり細い場合、必ずしもそうではないのです。
網目状になっている場合は、神経が活きていると「根管の石灰化」という現象が起きやすく、自然にそれらのすき間が封鎖されることが多いのです。でも患者のいろいろな条件にもよります(特に若年者は根管が太く自然封鎖が起きにくい)。
したがって、いいかげんにやってもよいというわけでは決してありません。できるだけ、その管を緻密に密閉してあげることが、人間の体にとって良いことには違いありません。
前の歯は比較的真っ直ぐな場合が多いのですが、臼歯はどうでしょうか。いろいろ曲がっています。ここで問題が出てくるわけです。
いま大学で教えている治療方法は既成のガタパーチャという棒状のゴムをこの管に詰めていくやり方です。側方(横側)に圧力を加え、すき間を何本もの棒状ゴムで詰めていって根管全体を封鎖しようということです。
前歯のような真っ直ぐな根管の場合にはこれでよい場合もあります。ところが大臼歯のような曲がった根管の時には、既製の真っ直ぐなガタパーチャを詰めるのはなかなか困難な場合も出てきます。