2013年10月23日
根管内を無菌化するために貼薬をします。以前は強い消毒・殺菌作用のある薬剤が使用されていましたが、組織刺激性や発ガン性などの為害作用の懸念があるため、現在では水酸化カルシウムが用いられています。
水酸化カルシウムは強アルカリ性(ph12.5)のため殺菌作用を発揮しますが、生体刺激性が少なく、作用が長時間持続する事や発ガン性がないことを特徴としています。
根管を化学的・機械的に清掃することで50〜70%程度の感染根管で無菌化が得られますが、その後、水酸化カルシウムを1週間以上貼薬することで90〜100%の無菌化が得られたとの報告がされるなど、多くのエビデンスに支えられた水酸化カルシウムは根管貼薬剤として推奨されています。
名古屋 中区 栄 一壺歯科医院
2013年10月22日
根管形成に使用される手用ファイルやエンジン用のNiTiロータリーファイルでは根管の面積の35%以上が切削されずに残ってしまうとの報告があります。
この取り残した所をきれいにするために次亜塩素酸ナトリウムが用いられます。
次亜塩素酸ナトリウムは有機質を溶かす作用があるため、これを利用して切削できなかった感染源を溶解して取り除きます。
しかし、次亜塩素酸ナトリウムは無機質には作用しないため、EDTAという薬剤も併用して根管内の細菌の数を減らし根管充填できる環境を整えます。
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2013年10月19日
根管は複雑な形態をしているため機械的形成だけでは根管内の細菌数を大幅に減少させることはできません。そのため、化学的清掃で補完することで50~70%程度の感染根管が細菌の培養検査で陰性になると報告されています。
機械的根管形成にはニッケルチタン(NiTi)合金のロータリーファイルを使用し、化学的清掃には次亜塩素酸ナトリウムNaCLOによる洗浄を主に行い、EDTAとの交互洗浄も行います。また、次亜塩素酸ナトリウムの作用を増強するために超音波振動を併用したりしています。
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2013年10月11日
樋状根とは、私たちモンゴロイドの下顎第2、第3大臼歯に高い頻度でみられ、根管の水平断面がC字型をした根のことをいいます。 樋状根とかCシェイプとか言ったりします。
臨床例をご覧ください。
右下第2大臼歯がここ半年の間ウズクということで来院されました。
術前のレントゲン写真です。
根管内に4本のガッタパーチャが見え、歯根の遠心に骨の透過像がみられます。
歯根が円錐形でしたので樋状根が疑えます。
近心根、遠心根が頬側でつながっていて、やはり樋状根でした。
根管内を十分に清掃、消毒をしてガッタパーチャを緊密に充填したらガッタパーチャがアルファベットのC字の様になりました。
レントゲン写真です。広範囲にガッタパーチャで充填されています。(チョッと見にくいですが)
治癒に向かわれるといいですね。
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2013年10月10日
補綴物が脱落しないために
食事中にはずれた補綴物を咬んでしまってイヤな経験をされた方は多いのではないでしょうか。 このような事は避けなければせん。
補綴物が脱落しないためには形成がとても重要となりますが、それは、形成によって作り出される保持形態により補綴物が維持されるためです。
歯は歯軸(歯の縦方向の軸)に対して6°のテーパーで形成され、この歯壁面と補綴物内面との摩擦力によって補綴物は維持されています。そのため、歯が小さい場合は摩擦力も小さくなり補綴物が脱落しやすくなります。
小さな歯でも補綴物が脱落しないようにするには、歯軸の歯壁面にグルーブ(溝)を形成したり、ボックス(溝の幅広タイプ)を形成したりして摩擦力アップに努めます。
このように保持形態を考慮して形成された歯に接着性セメントを用いて補綴物が装着されると脱落を避けやすくなります。
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2013年9月20日
歯髄への影響はどうか
歯を削る時はいつも歯髄に損傷を与えないためにはどうすれば良いか考えます。
支台歯形成(クラウンを入れるための形成)では歯の4〜5歯面にわたり歯を削るため、削除刺激が歯髄に加わる機会も多くなります。患者さんのご希望、年齢、歯種、歯の形態、咬合(噛み合わせ)状態などを考慮して補綴物を選択し、その補綴物を作るのに必要なスペースだけの形成量に止め、過度の形成により歯髄に損傷を与えることを避けなければなりません。
削除刺激の中に形成時の摩擦による発熱があり、その発熱を抑えるために形成時は水で形成面を十分冷却しながら行います。
形成時の発熱を考えるとき、歯髄までの距離に注意する必要があります。
形成面と歯髄との距離が0.5mm以下となると歯髄の損傷変化が顕著となるため、歯表面から歯髄腔までの距離を参考に慎重に形成します。
切削時の圧力も影響します。
強い力を加えて形成するとバーと歯質との間に過度の温度上昇が生じ歯髄に損傷を与えてしまうため、歯面をなでるように軽い圧で形成します。
形成時に使用する切削具も歯髄に影響を与えてしまいます。
形成面の仕上げに用いるカーバイトバーはダイヤモンドバーよりも歯髄への影響が大きくなるため、その使用は慎重にせねばなりません。
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2013年9月17日
健康な歯肉が維持出来るのか、清掃性は良いのか。
補綴物は歯を削ったスペースに製作されます。そのため、目的とする補綴物を製作するのに削除量が不十分な場合、補綴物は出っ張った形となってしまいます。
大きな補綴物では、食べ物の流れによる歯の自浄作用が得られず不潔になったり、歯ブラシが届きにくくなり、歯肉炎や歯周病を起こす原因となったりします。
また、マージンが不鮮明の場合は適合の良い補綴物を作る事ができなくなり、不適合部分が不潔になり健康な歯肉を維持する事ができません。
清掃性の良い補綴物を入れるためには、作る補綴物に応じた削除量で、適切な位置に設定された鮮明で滑らかなマージンが必要になります。
不適切な補綴物により歯肉が腫脹しています。
清掃性の高い補綴物を入れることにより歯肉の腫脹が改善しました。
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2013年9月11日
下顎の小臼歯がカリエスのため、ハイブリットレジンを充填することになりました。
カリエスの部分と同時に、以前に充填されたレジンも取り除くと大きな欠損となりました。
カリエスを残したままだと2次カリエスになるため、取り残しがないかカリエスチェックで染色して完全にカリエスを除去し、充填処置に移ります。
窩洞が深くなった為、術後疼痛や術後の歯髄炎となる可能性が高い思われます。そのため、重合収縮応力が低く、適合性の高いDENTSPLYのエスディーアール(SDR)を窩底に使用しました。
エスディーアール(SDR)の上にハイブリットレジンを積層法により充填して解剖学的な咬合面を再現しました。
(大臼歯に咬合紙による着色があるままの写真となってしまいました。治療終了時には綺麗に取りましたのでご安心ください。)
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