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2018年1月29日

知っておきたい根管治療の知識

根管治療には、症状によって次のような種類があります。一般的に根管治療と呼ばれているものは、抜髄・感染根管治療・再根管治療です。また神経を残す治療として生活歯髄療法というものもあります。

抜髄根管治療の知識
歯髄(歯の中の神経や血管を含む組織)をすべて除去することで、痛みや炎症を抑える治療です。むし歯の原因菌による歯髄への感染、また外傷や温熱刺激で、歯髄炎と呼ばれるズキズキとした歯痛が起こります。一度歯髄炎になってしまうと元の健康な歯髄に戻ることは難しく、放置すれば歯髄は壊死し、腐敗してしまいます。この炎症を起こした歯髄を取り除く治療を抜髄と呼びます。

感染根管治療根管治療の知識
歯の中の汚染物質(感染した歯髄や象牙質)を取り除いてきれいにする治療です。治療をせずに鎮痛剤で痛みをごまかしていたり、被せ物が取れたまま放置していると、歯の内部の歯髄は徐々に反応が弱くなり、最終的には壊死します。歯髄が壊死すると痛みはなくなりますが、そのまま放置すると感染した細菌が繁殖して、やがて歯を支える歯根のまわりの骨がなくなり膿がたまります。これが根尖性歯周炎と呼ばれるもので、進行すると耐え難い痛みと腫れを伴います。そのような根管内の感染物質を取り除く治療を感染根管治療と呼びます。

再根管治療
過去に根管治療を受けた歯の違和感が消えず、痛みや腫れが再発して治療した歯の歯肉から膿が出ることがあります。これは、根管中の汚れの取り残しや根管充填が不十分な場合や、被せ物がぴったり合っていないために隙間からの細菌感染が原因として考えらます。治療では、以前詰めた充填剤を除去して、根管内の清掃、消毒を行い、再び根管充填するのが再根管治療です。ただし再根管治療は、根管の形態が非常に複雑なため感染源の除去が困難なことや、本来の根管の形態が損なわれていることもあり、最初の治療と比較して成功率が低くなると言われています。当院では、マイクロスコープで根管内を直接確認しながら、ていねいに清掃、消毒することで成功率を高めています。

生活歯髄療法
生活歯髄療法は、歯髄の保存を目的とした治療で、歯髄が露出するのを防ぐことや、露出した歯髄を最大限に保存する治療法です。

外科的歯内療法とは

外科的歯内療法とは根管治療や再根管治療で病巣を治すことを歯内療法と呼ぶのに対し、歯内療法だけでは治らない場合に行うのが外科的歯内療法と呼ばれる治療法で、外科的処置により直接患部を除去して歯の保存を試みます。外科的歯内療法には歯根端切除術や意図的再植などがあります。また事故などによって歯が脱臼、亜脱臼した場合に行われる処置も外科的歯内療法に含まれます。

外科的歯内療法が必要になる理由
根管治療では、感染を取り除くために歯根の内部を削りますがそのことにより歯の強度が落ちてしまいます。そのため、症状が改善して被せ物を装着しても歯根が割れて抜歯を余儀なくされることがあります。そこで歯の内部をできるだけ削ることなく保存させるために外科的歯内療法を行います。

歯の根を直接切断する【歯根端切除術】

歯根端切除術とは、根の先に膿が溜まっている歯の歯肉を切開して、歯の先端を切断して取り除く方法です。

治療の流れ
1.病巣を除去する
歯肉を切開し、病巣を除去します。

2.根の先端を切除する
感染した根の先端を切断して取り除き、あらわれた根管に封鎖性の高いセメントを詰めます。その後、歯肉を縫合します。

3.骨ができるのを待つ
経過を観察していきます。

抜歯した歯の根を切除し再移植する【意図的再植】

歯の根の部分に大きな病巣ができている場合や、通常の根管治療では治らないような場合に、一度歯を抜いて感染した根の先端を切除し、封鎖性の高いセメントを埋め、歯を元の場所に再び戻す方法です。治療のためにあえて一度抜いてから再植するため「意図的」と名付けられています。ただし歯の状態によっては適応できないケースもあります。

根管治療が必要になる歯の根の病気【根尖性歯周炎】

根管内の歯髄が壊死して細菌に感染すると、根管内で細菌が増殖して感染が進行していきます。やがて歯根の先端にある血管などが入ってくる孔(根尖孔)から歯周組織へ細菌が出る事により感染がさらに拡大します。その結果、歯根の先端に炎症が起きて「根尖性歯周炎」が起きるのです。

病気が進むと、歯根から広がった炎症によって歯槽骨(歯を支える顎の骨)が破壊され、歯槽骨の内部に膿が溜まります。そのため、激しい痛みが生じて歯肉や顎が腫れてしまいます。場合によっては溜まった膿が歯肉から出てくることもあります。

根尖性歯周炎の治療法
原因となっている歯の内部で細菌感染した歯髄や象牙質を取り除く感染根管治療を行います。治療の際は、細菌が含まれる唾液が根管の中に侵入しないように患歯を隔離して治療することが重要となります。根管治療でも治癒が認められない場合は、患部を外科的に処置する外科的歯内療法を行います。

難症例にも対応した歯を残す治療を実践しています

難症例にも対応した歯を残す治療を実践しています当院では、マイクロスコープを使った精密な根管治療を行っています。歯の根の奥深くまで感染し、残すリスクの高いケースでも、当院の根管治療で歯を抜かずに守れる可能性があります。

当院には、他院で「抜歯してインプラントにしましょう」「破折していて歯は残せない」と言われた患者さんが多く相談に来られます。しかし、当院の根管治療によって抜歯を回避して、歯を残すことができたケースが数多くあります。安易に抜歯を選ばず、本当に歯が残せないのかどうか、もう一度、考え直していただくことを望みます。

根の治療をしたはずなのに痛みが残っていませんか?
根管治療を受けたのに痛みが取れない、歯ぐきの腫れがなくならないなどの理由で来院される患者さんも少なくありません。根管治療は、家に例えると土台となる部分の工事です。土台が脆いと、どんなに立派な建物でも壁にヒビが入ったり立て付けが悪くなったりするのと同じように、歯の根の治療をしっかり行わないと、どんなに品質の高い素材の被せ物や詰め物をしても、再び痛みがでたり、歯ぐきが腫れてくる可能性があるのです。

できるだけ歯を残したいという患者さんの気持ちにお応えしたいと思います

できるだけ歯を残したい自分の歯で食事を楽しみ、いつまでも健康に過ごしていただきたいというのが、歯科医師としての私の願いです。そのために根管治療をはじめ、質の高い歯科治療を行い、多くの患者さんの歯やお口の健康を守ってきました。抜歯は、丹念な治療を行ってもどうしても歯が残せない場合の最終的な選択であるべきです。

根管治療によって、できるだけ多くの患者さんの「歯を残したい」という思いにお応えしたいと考えています。

当院の根管治療の特徴
●マイクロスコープによる精査と治療
●ラバーダム防湿による感染防止
●歯を削る器具類の徹底した滅菌、ディスポーザブル(使い捨て)による感染防止
●薬液などによる根の中の徹底した消毒
●1回90~120分程度の十分な治療時間
●治療箇所の充分な封鎖、精密な修復治療による再感染の防止

精密な根管治療に必要な医療設備を積極的に導入

マイクロスコープ精密な根管治療には、専用の医療設備や治療器具が必要です。中でも非常に繊細な処置を行うためにマイクロスコープ(歯科用手術顕微鏡)の存在は欠かせません。

マイクロスコープを用いることにより、見落とされた根管の発見、歯髄(歯の中の神経や血管を含む組織)や古い根充材の除去、歯根破折の診査・診断、穿孔の処置、破折ファイルの除去などの治療が可能となるのです。

マイクロスコープ(顕微鏡)について

感染を防ぐ「無菌的治療環境」を実現

唾液の中には細菌が無数に生息しています。本来、歯髄は唾液とは直接触れないので無菌ですが、治療中に唾液が触れた時点で細菌が侵入し感染を起こします。根尖性歯周炎(歯の根の病気)は細菌感染により引き起こされるため、根管治療は細菌との戦いでもあり、無菌的治療環境の中で治療することが重要となります。

ラバーダム防湿
治療する歯(患歯)をゴムのシートを用いて隔離するラバーダム防湿を必ず行います。むし歯が大きくラバーダム防湿ができない場合は、隔壁(歯の回りにレジンなどで作る壁)を作りラバーダム防湿ができる治療環境を整えます。これにより、感染を防止できるのはもちろん、治療する歯が見えやすくなり、治療中の材料の誤飲を防止することもできます。

歯とラバーシートとの間に生じる隙間にはオラシール(パテ)を充填して感染の原因となる唾液がにじみ出てくるのを防ぎます。さらに患歯とその周辺は過酸化水素水とヨード液で清掃・消毒して無菌的治療環境を整えています。

ラバーダム防湿時の手術野の消毒について
右下5番(第2小臼歯)
ラバーダム防湿時の手術野の消毒について

ラバーダム防湿
ラバーダム防湿時の手術野の消毒について

オラシールによりラバーシートの隙間の封鎖
ラバーダム防湿時の手術野の消毒について

過酸化水素水で歯の消毒
ラバーダム防湿時の手術野の消毒について

ヨード液で歯の周囲を消毒
ラバーダム防湿時の手術野の消毒について
このように消毒を行い、感染のリスクを防ぎます。

手間やコストも惜しまないディスポーザブル器具の使用

ディスポーザブル器具の使用感染対策を徹底するために、器具に付着した細菌や歯質・タンパクなどの異物を根管内に混入させないよう、できる限り器具をディスポーザブル(使い捨て)にしています。また、バーやタービン類などの器具はすべてクラスB高圧蒸気滅菌器で滅菌を行い、万全の感染対策を行っています。

滅菌対策について

ファイル
根管内に挿入して使う、Kファイル、Hファイル、C+ファイルと呼ばれる器具は、未使用の滅菌されたものを使用します。一度使用したファイルは毎回廃棄していますので、他の患者さんにこれらの使用済みファイルを使うことはありません。

滅菌済みバー
髄腔をあける(歯を削る)際は、高圧蒸気滅菌器で滅菌処理したディスポーザブルのバーを使用します。

滅菌済みペーパーポイント
紙材質で出来た針のようなもので、根管内の乾燥に使用します。もちろん使用後は廃棄します。

根管治療を受ける方、必要といわれた方へ

根管治療を受ける方、必要といわれた方へ「疲れてくると鈍い痛みがある」「歯ぐきが腫れて痛い」こんな症状でお困りの方はいらっしゃいませんか?

このような症状は、むし歯が歯髄(歯の神経や血管を含む組織)まで進行して、歯髄が細菌に感染したために炎症をおこしている場合や、すでに歯髄のない歯根まで感染が進み、歯根の先が化膿していることが考えられます。炎症や感染をそのまま放置しておくと、歯が痛むだけでなく、歯を支える骨にまで炎症が大きく広がり、場合によっては歯を抜かなければならなくなってしまいます。

根管治療とは、これらの症状を改善し歯を抜かないで残すための治療で、歯内療法とも呼ばれています。当院では、基本を重視した丁寧な根管治療を行っておりますので、ご安心ください。

根管治療では、感染した歯髄の除去(抜髄)を行い、汚れた根管を丁寧に清掃、洗浄し、再発を防ぐために根の中に薬剤を充填して根管を封鎖します。根管は非常に狭く複雑な形状をしているため、汚れを完全に除去するのは至難の業です。もし汚れの取り残しなど不十分な処置で終わらせてしまうと、感染が再発してしまいます。そのため当院では、予知性の高い根管治療を行うためにエビデンスに基づいた技術や材料をとりいれて治療を行っております。

歯を抜かないで残すためにぜひ、多くの方に、根管治療について正しい知識を持っていただきたいと願っています。

根管治療の基礎知識について

世界に比べて遅れている日本の根管治療【根管治療の再治療が多い理由】

世界に比べて遅れている日本の根管治療日本の根管治療は、欧米と比べてかなり遅れているといわれています。歯科先進国といわれるアメリカでは90%以上の成功率を誇りますが、日本では50%以下とされているのです。どうしてこれほどの違いが生まれるのでしょうか。

歯の形態には個人差があり、根管の形態もさまざまです。さらに歯の根の中は細くて暗いため、肉眼で見ることは困難です。その為、マイクロスコープと呼ばれる歯科用手術顕微鏡を使った精度の高い治療が必要になります。アメリカではマイクロスコープを使った根管治療が多く行われていますが、日本ではマイクロスコープを使う歯科医師はまだ多くはありません。

また、治療中に根の中に細菌を含む唾液が入ると再感染してしまうため、アメリカではラバーダムというゴム製のシートで治療する歯(患歯)と口腔内を隔離します。このように唾液の侵入を防いだ状態をラバーダム防湿といいます。しかし日本ではラバーダム防湿があまり普及していません。

さらに自費診療で行われるアメリカでの根管治療は、治療に必要な時間をかけることができますが、日本では十分な時間をかけられず、その結果、再治療を招く可能性が高くなってしまいます。

アメリカでの根管治療に準じた精度の高い治療

アメリカでの根管治療に準じた精度の高い治療当院では、開業当初より行っているラバーダム防湿による無菌的治療環境下での治療に加え、マイクロスコープを使用してアメリカの治療法に近い精密な根管治療を実践しています。

当院の根管治療について

根管治療の流れ

初診・カウンセリング
根管治療をご希望の方は、まずお悩みをお聞かせください。歯についてのご相談・受診予約を受け付けています。患者さんの歯の状態を診査・診断し、十分な時間をかけご説明いたします。

当院の治療は自費診療となりますので、治療にかかる費用や時間などについても、何でも遠慮せずにご質問ください。納得して治療を受けていただけるように、ご説明いたします。

お問い合わせフォームはこちら

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根管形成、化学的根管洗浄
患部に麻酔を充分に効かせ、炎症を起こした歯髄を除去(抜髄)します。ファイルという治療器具を使い、歯髄を取り除きながら根管を拡大・形成し、根管内の清掃を行います。次に根管の中に薬を入れた状態で超音波の振動により化学的な洗浄を行います。

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根管内貼薬
感染が疑われる根管に貼薬することで細菌数を減少させます。

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根管充填
根管内が無菌化し歯根の周囲の炎症が治まったら、根管の中を隙間なく専用のシーリング材を用いて封鎖します。これを根管充填と呼びます。

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支台築造(土台を立てる)
大きなむし歯により、ほとんど歯根だけになった場合は、土台(支台築造)をつくり、その上に被せ物を装着します。土台の材料には親和性の高い貴金属を使用したメタルコアや、金属アレルギーの心配がないファイバーレジンコアなどがあります。

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補綴(被せ物セット)
支台の周りをきれいに削り整えてから型取りを行い、それに合った被せ物を実体顕微鏡下で作成します。被せ物の咬み合わせを微調整し、高品質のセメントで接着して治療を完了します。

根管治療は中断したまま放置しておくと根管内の細菌がどんどん増えて病巣が大きくなり、やがて取り返しのつかない事態になりかねません。最後まできちんと治療を受けることが大切です。


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