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調整の少ないクラウンを目指して (その3) 

咬合について
症例症例
今回も、当ラボで日常手がけている臨床ケースの中から紹介します。左の写真は咬合器にマウントして、前回ご紹介した手順で支台歯部のバイトの高さに合わせて咬合調整された模型にワックスアップしたもので、右の写真は研磨完了後の咬合状態です。口腔内においても咬合調整なしにこれらのポイントが過不足なしに再現されれば、咬合理論に沿って計画されたクラウンができたことになります。

症例ここで少し代表的なオクルージョンについて簡単に説明したいと思います。①はナソロジーの図ですが、上顎では頬側咬頭内斜面をA斜面、舌側咬頭内斜面をB斜面、舌側咬頭外斜面をC斜面といいます。下顎では、頬側咬頭外斜面をA斜面、頬側咬頭内斜面をB斜面、舌側咬頭内斜面をC斜面といいます。
上顎では主隆線の近心側にE(イコライザー)があり、それぞれAE(エーイコライザー)、BE、CEとなります。また、AEとBEに拮抗するS(クロージャーストッパー)が近心辺縁隆線の遠心側にあります。BEとCEに対してのSは、舌側咬頭遠心側にあります。下顎にもそれに対応した位置にそれぞれのポイントがあります。絵を重ねてみると良く分かると思います。

症例②は田中浅見先生の方式ですが、A、B、C斜面は同じですが、近心側のコンタクトポイントをX、遠心側をY、中央の場合をZとします。BXならばB斜面の近心側のポイント、CYならC斜面の遠心側にあるポイントであると分かりやすくなっています。上顎ではBXがBZに、下顎ではBYがBZになる場合もあります。

症例③はロングセントリック(グループファンクション)の図です。下顎の頬側咬頭頂が上顎近心辺縁隆線と、上顎舌側咬頭頂が下顎遠心辺縁隆線と接触しています。コンタクトポイントの位置と、ガイドの位置は別になっていて、下顎頬側咬頭遠心部が、上顎頬側主隆線の近心側と接触滑走します。

症例④はフルバランスですが、これもA、B、C斜面になっています。A斜面、C斜面にはそれぞれ近心小面と遠心小面があります。B斜面には上下とも平行咬合小面あります。

側面図などがあれはより分かりやすいと思いますが、興味のある方は専門書がいろいろとありますので調べてみて下さい。

症例
写真左上、左下は臨床のケースですが、ワックスアップ完成時の咬合ポイントをマークしてあります。上下顎のケースですので、どの咬頭がどこに咬み込んでいるのかが良く分かります。ナソロジーの咬合様式で3点接触が基本になりますが、臨床では図で示したような理想的な位置に必ずしもコンタクトポイントができません。大事なのは「A斜面の○○に○○が当たる」、「B斜面の○○にイコライザーがある」などの条件を自分で探して機能(ファンクション)させることです。理想的な絵を覚えることも必要ですが、そのコンタクトは何のために必要なのか、どうしたらその機能を与えることができるのかを良く考えるとおのずとどうしたらよいのかが見えてきます。整ったきれいな形の歯にならなくても機能的な咬合を与えることが最も重要なことです。写真右上、右下は頬側、舌側面観です。

症例
写真右はワックスアップを元に半焼結ジルコニアクラウンを削り出し、焼結後に研磨した状態のものです。写真左はステインをして完成したジルコニアクラウンです。

今ではスキャナーで模型を取り込んで、CADで見た目にもきれいなクラウンが誰でも簡単にデザインできる時代になりましたが、それが機能的かどうかは別問題だと思います。コンピューターではできない、熟練しないとできない補綴物の作れるラボになりたいと思い日々精進しています。


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